
市場分析とは何か?
1章で「巨大なブルーオーシャン市場がある」という事業機会を発見しました。2章では、その市場の中身をより具体的に理解するための「市場分析」を行います。
市場(マーケット)とは?
ビジネスにおける「市場」とは、「全国すべての人」といった漠然としたものではありません。実際にサービスを届けに行く具体的な場所、つまり1章で定義したSOM(獲得可能市場)のエリアにいる「具体的な人々」を指します。
市場分析では、以下の3つの視点で「誰に届けるか」を明確にしていきます:
- ターゲットペルソナ:具体的な顧客像の設定
- 市場トレンド:今このタイミングでやる意味
- 市場機会の検証:本当にニーズがあるか?
①ターゲットペルソナ:顧客の「顔」を想像する
ペルソナとは何か?
ペルソナとは、そのSOMのエリアにいるサービスを使ってくれる人がどういう人たちかを、まるで実在する人物のように詳細に想像し仮定したものです。これがターゲットペルソナになります。
なぜペルソナが必要なのか?
「ニーズがあるかどうかはやってみないとわからない」という課題に対して、どういう人がターゲットで、そのディテール(詳細な設定)からニーズがあるかどうかを事前にシミュレーションできるからです。
これは小説や脚本を作るプロセスに似ています。登場人物の背景、性格、日常を詳しく設定すればするほど、「この人ならこういう場面でこう行動するはずだ」「この悩みがあるなら、このサービスを使うはずだ」という予測の精度が上がります。
優れたペルソナの3条件:
- 設定が詳細であること:年齢・職業だけでなく、生活パターンまで
- 実際に存在しそうであること:「確かにこういう人いるよね」と感じられる
- ニーズが明確であること:「だからこのサービスが必要だ」と結論づけられる
F@iで設定した3つのペルソナ
添付図をご覧ください。F@iでは、「AIやFPを使いこなせていない人たち」を想定して、以下の3タイプのペルソナを設定しました。
ペルソナ①:忙しい会社員(30-40代、年収400-700万円)
課題(Pain):
- 「ふるさと納税」やらなきゃ...やりたいとは思っている
- 面談のための時間を作れない
- 調べるのが面倒で後回し
ニーズ(Gain):
- 簡単に・面談なしで・短時間で解決したい
この層の最大の障壁は時間不足です。「制度は知っているし、やった方がいいのもわかっているけど、調べたり面談したりする時間がない」という状態。だからこそ、LINE完結というF@iの設計が刺さると予測できます。
ペルソナ②:慎重派(40-50代、年収500-900万円)
課題(Pain):
- 商品を売りつけられるのが嫌
- 個人情報の提供に不安
- 老後資金など「ちゃんとしたい」気持ちは強い
ニーズ(Gain):
- 中立的な立場からのアドバイス
- 個人情報は最小限で相談したい
この層の最大の障壁は信頼性への懸念です。「相談したいけど、商品を押し売りされそう」「個人情報を渡すのが怖い」という心理。だからこそ、独立系FP・個人情報不要というF@iのコンセプトが響くと予測できます。
ペルソナ③:AI初心者(全年代)
課題(Pain):
- AIが便利そうなのは知っているが、使い方がわからない
- 「まず覚えて」というアプローチが面倒
- 何ができるか体験したい
ニーズ(Gain):
- まずハードル低く体験したい
- できれば使い方の「種明かし」も知りたい
この層の最大の障壁は学習コストです。「ChatGPTを登録したけど、何を入力すればいいかわからない」という状態。だからこそ、「覚える前に体験」「種明かし提供」というF@iの価値提案が刺さると予測できます。
また、コミュニケーションツールとして全世代で多くの人が既に使っているLINEを使うことも導入ハードルが下がると予想できます。
②市場トレンド:どんな「波」に乗るのか?
トレンドとは何か?
ペルソナに加えて、市場全体の「トレンド」を押さえることも重要です。
ここでいうトレンドは、瞬間的な変動要素でもなく、長期的な傾向でもない、その中間となる数年単位で続きそうな大きな波を指します。イメージでいうと流行に近いものです。
トレンド分析の4つの観点:
- 技術的なトレンド(AI、クラウド、スマホ普及など)
- 制度のトレンド(税制改正、NISA・iDeCoの変更など)
- 経済的なトレンド(インフレ、金利動向など)
- 生活様式のトレンド(オンライン化、LINE定着など)
あまりにも短期的なものでは、サービスをローンチ(開始)する前に状況が変わってしまうので、現在と少し先の中期的な傾向をつかむ必要があります。
F@iが注目する4つのトレンド
添付図の「市場トレンド」部分をご覧ください。F@iでは以下のトレンドを「追い風」として分析しています:
①AI普及の加速と利用格差
- ChatGPT登場以降、認知度は急上昇
- しかし実際の日常利用率はまだ低い
- 機会: 「使えない層」へのサポートニーズ増大
②金融制度の変革期
- NISA恒久化、iDeCo拡充など制度充実
- 老後2,000万円問題の継続
- 機会: お金の悩みを持つ層の増加
③オンライン・LINE定着
- 非対面サービスへの抵抗感減少
- LINE利用率90%超
- 機会: LINE完結型サービスの受容性向上
④情報過多と選択疲れ
- 情報は溢れているが整理できない
- 「自分の場合は?」がわからない
- 機会: パーソナライズされた助言への需要増
③市場機会の検証:リテラシー格差という未開拓市場
ペルソナとトレンドを分析した上で、最も重要な問いに答えます:「本当にこの市場にニーズがあるのか?」
F@iの市場機会分析
添付図の下段「市場構造」をご覧ください。世の中はAIリテラシー・金融リテラシーが急速に上がっているように見えていますが、実際にはまだまだ使える側の方が少数派です。
市場の二極化構造:
【AI使える層】 【AI使えない層】
↓ ↓
少数派 多数派★
既存サービス利用 未開拓市場
データから見える現実:
- AI認知度:約70%(高い)
- AI日常利用率:約15%(低い)
- 85%は「知っているが使いこなせていない」
この85%の層こそが、F@iがターゲットとする巨大な未開拓市場です。つまり、ニーズは高いのに、マーケットは未開拓という状況。これこそが市場機会の価値が高いという分析結果になります。
実際のデータから見える市場構造:
野村総合研究所(2024年調査)、総務省「情報通信白書」等に基づくと
- AI認知度:約7割(生成AIを知っている人)
- AI利用経験:約1-1.5割(一度でも使ったことがある人)
- 未開拓層:約8-9割(知っているが使っていない・使いこなせていない)
この約9割の「知っているが使えていない層」こそが、F@iがターゲットとする巨大な未開拓市場です。つまり、ニーズは高いのに、マーケットは未開拓という状況。これこそが市場機会の価値が高いという分析結果になります。
市場機会の結論:
F@iは、「AIもFPも使いこなせていないけれど、なんとかしたいと思っている層」を、「体験から入るAI」という架け橋でつなぐ役割を果たします。この「リテラシーの壁」に阻まれている多数派にこそ、最大の市場機会が存在しています。
💡 ビジネス設計のポイント:「妄想」を「仮説」に昇華させる
ペルソナ作りは一見すると「想像・妄想の世界」です。しかし、この想定が詳細でかつ実際に存在しそうであること、そして想像したときに「確かにそれならばニーズがあるな」と結論づけられることが大事です。
この「妄想」に論理的な裏付けを持たせることで、それは強力なビジネスの「仮説」になります。
次章では、この市場に対して「どんな価値を提供するか?」という顧客価値提案を設計していきます。ここで設定したペルソナの課題(Pain)とニーズ(Gain)が、そのまま価値提案の核になります。




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